法定後見制度

法定後見制度

●法定後見制度とは
 すでに判断能力が低下してしまっている方々については、申立人が家庭裁判所に申し立てることにより、その判断能力の程度に応じて、「成年後見人」、「保佐人」、「補助人」が付けられます。本人の事情や判断能力の程度に応じて、どの区分になるのかは家庭裁判所が決定します。

 

 

●法定後見は、後見、保佐、補助の3類型がある
 後見は、日常の買い物が全くできない等の状態、つまり判断能力が全くない方が対象となります。
 後見人には、被後見人の財産管理や法律行為を代わりに行う代理権と取消権が与えられます。取消権とは、被後見人が行った法律行為を取り消すことができる権限です。 被後見人の自宅の処分に関しては、家庭裁判所の許可が必要となります。

 

 保佐は、日常的な買い物等は一人でできるけれど、たとえば不動産を売買する等の重要な財産行為を行う際には、誰かの支援があったほうが良い方を対象とします。
 保佐人には、被保佐人が行う重要な財産に関する行為について、同意権、取消権が与えられます。

 

 補助は、日常的な買い物等は一人でできるけれど、たとえば家を新築するなどの重要な財産行為について、一人で行うことが不可能ではないが適切に行えない恐れがあり、他人の援助を受けたほうが安心である、というような方を対象とします。
 補助人には、家庭裁判所の審判により、被補助人が行う、たとえば借金、訴訟行為、相続の承認や放棄、新築や増改築等、法律で定められた行為の一部について、同意権・取消権が与えられます。

 

後見・保佐・補助人(以下、後見人等)には、日用品の購入等、日常生活に関する行為に対する権限はありません。

 

 

●後見人等にできないこと7つ
・日用品の購入
・食事や排せつ等の介助等の事実行為
・医療行為への同意
・身元保証人、身元引受人、入院保証人等への就任
・本人の住居を定めること・・本人の意思決定によるべきもの
・婚姻、離婚、養子縁組・離縁、認知等の代理・・本人の意思決定によるべきもの
・遺言・・本人の意思決定によるべきもの

 

 

●最高裁判所事務総局家庭局の統計では、成年後見制度利用の動機のトップ5
 成年後見制度は、どのような時に必要になるのでしょう?トップ5は以下の通りです。
1.預貯金の管理・解約
2.介護保険契約(施設入所等のため)
3.身上監護
4.不動産の処分
5.相続手続

 

1や4で一時的に成年後見制度を使うのは、コスト的に実にもったいないものです。また、その後の不自由度を考えますと後悔されるケースとなります。

 

●後見人になるのは
 家族がいても、家族の一人を後見人として申請しても財産が多いと、弁護士、司法書士、行政書士など法律専門家が後見人になることが多い状況となっています。また、親族が遠隔地に住んでいる場合も同様です。

 

 

●メリット・デメリット
 法的後見制度は、身寄りがないなどその人を守るために国が用意した制度です。
家裁の管理下のもと厳格に行われ、本人を守ります。家族がいる場合でも、家族の手から離れてしまうため、家族の思いを実現できなくなります。

 

ご家族で面倒が見られる場合には次ののようなデメリットをお感じになります。
・申請時にコスト、時間がかかります。
・スタートしてしまうと途中でやめられません。治るかお亡くなりになるまで続きます。
・選ばれた後見人を替えて欲しいと思っても原則認めらません。
・月々の職業後見人の報酬がおよそ3−9万円かかります。
・特別な対応(不動産売却など)の場合は、別途報酬が発生します。
・不動産の売却など迅速な判断が必要なケースで、時間がかかるため不利となります。

 

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